うどん紀行2



うどん屋巡りの醍醐味は何だろう?

それは何と言っても色んな麺に出会えることだ。

しかし、どうしても外せない醍醐味がもう一つ。

…色んな親切に出会えることだ。

商売抜きでの親切心が無性に嬉しく、

次の店へ向かう気力を奮い立たせてくれる。

お遍路さん・うどんファンの聖地、讃岐。

そこには親切があふれている。

それ故、我々も二度・三度とかの地を訪れる。

…かくて、お気に入りの店を持つことになる。



中讃の某店でのことである。

私はその日その店で、うどんの撮影を繰り返していた。

心の中で叫ぶ。「伸びないでくれ、伸びないでくれ!」

何度撮っても満足のいく画像が得られず、撮影続行…

しかし、そこには完全に伸びきった麺。

それを見た店のおばちゃん。

『伸びたから代えてあげよか。お代はいらんからね。』

感激のあまり、咄嗟に言葉がでない。

こちらの心情を察した思いやり・親切心…流石と言う他ない。



一方、中讃の別店にて。

『お客さん、県外からじゃろ。次、どの店を回るんじゃ。』

店主自ら道順を調べてくれる。

その器の大きさに、只々恐縮するだけである。



坂出の某店では、急な土砂降りに見舞われた。

「これからどうやって駅まで向かおうか…」

途方に暮れていると、店の主人が一言。

『これから外出するけど、駅まで乗っていかん?どうせ途中やから。』

…渡りに舟どころか、地獄で仏に会った気分であった。



高々うどん一杯の客である。

にもかかわらず、自然体の親切にあふれている。

店が有名であろうがなかろうが、関係ない。

永らくお遍路さんを受け容れて来た伝統か、

困った時にジャストミートで差し出される親切、人々の真心。

うどんの聖地、讃岐…

かくてかの地の懐の深さに感謝しつつ、

味覚以上の満足感を得て、足取り軽く次の店へと向かう。



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